僕の制作仕事の周辺では今エンジニアが不足しています。今というよりも数年前からずっと不足しています。

*メディア表現学部では着任予定の方々に「今、注目のテクノロジー」という題目でコラムを依頼しています(エクストラ編集部)

「だれかこの案件手伝ってくれる人いない?」「今から3か月くらいJavaできる人紹介して」など、人を紹介してほしい話はほぼ絶えることなくやってきます。

そして僕はまわりの制作会社、フリーランス含めできるだけ紹介するように考えているのですが、みなさん忙しい人ばかりで半分くらいは断られます。

次に僕が海外で繋がりがあるインド人、ベトナム人チームでいい人がいないかを探します。実はインド、ベトナムには日本の会社がまさに欲しいと思っているスキルをもったエンジニアがたくさんいます。

彼らはとても勤勉で、かなりのプログラミングスキルを持っており、もしこれが日本人だったらみんな有名なIT企業に入れるなあというレベルです。

ただ、やはり日本語ができない、日本のビジネス習慣もわからないということで敬遠されてしまいます。

また国内を見渡すと、職業訓練やその他技術の学校ではプログラミングをしている人がたくさんおり、僕はそれらのコースの人と面談をしたり、セミナーをしたりもしていますが、職業訓練を終えた段階ですぐに案件を任せられる人はほとんどいません。

こういった人材のミスマッチをどのようにすれば解決できるのか?僕はいつもそのあたりを考えながら制作の仕事をしています。おそらく制作現場から間を取り持つ人を用意して、100%の仕事を任せられるわけではないけれど、まあ70%はできるからよしとしようというやり方に慣れていくしかないのかなと思っています。

今世の中では「テクノロジー人材」が不足しているので、たくさんプログラマを育てようという風潮がありますが、プログラマを育てると同時に様々な立場のプログラマとうまくコミュニケーションできる人材、そしてそれを受け入れられる環境作りも同時に必要だと思っています。

そのためには「日本語ができないと仕事ができない」とか「制作の経験がないと雇えない」とか2極の考えを僕も含め、周りの人達が変えていくのが重要になります。いろんな人種、いろんな立場の人が混じりながら、ひとつのプロジェクトを作り上げていくことができれば、今のテクノロジー分野での人材不足問題を大きく変えられるのではと考えています。

とはいえ、これを実際に実行してみると大変です。まずは僕自身がその状態を経験しないと分からないということで、3年ほど前からフランス人、ベトナム人、インド人を雇ってきました。また、雇うだけでなく、ベトナム、インドにいる現地チームにも仕事をお願いしたりもしました。

彼らの技術、知識は僕もよく知っており、日本人に引けを取らないです。むしろ技術では彼らのほうが上回っていることもあります。

ただ、実際に仕事をお願いするとなると、仕様書を英語に変えたり、打ち合わせで通訳したりと普通に日本人に頼むよりも2倍、下手をするとそれ以上の手間がかかります。

特に、日本企業が求めている、「1ピクセルもずらさないデザインの再現性」や「仕様書の裏側まで読み取った実装」など、これらの細かなところを伝えるのがとても大変です。

「日本語でやりとりできれば、この打ち合わせに僕はいらないのにな」とか「さっき打ち合わせした内容をまた一からエンジニアに説明するのか」などぼやきながら毎日過ごしています。

自分で理想を掲げておきながら、それがうまくいっていないのも事実です。

こうやって日々試行錯誤している現状ですが、来年から僕が教えることになるメディア表現学部でもこのもやもや感を持ち込んで学生や講師陣と共有したいと思っています。「そんな無茶振りされたら困る」という人もいるかもしれないですが、そうすることで、テクノロジーだけでなく、テクノロジーを取り巻く環境も考えられる人が育ってくれないかなと期待しています。

インド人エンジニア、熟年おじさんエンジニア(僕を含め、僕の仲間です)、子育て在宅デザイナーと時間、言語、スキルのなどの違いを乗り越えてものを作っていくのはとても楽しいです。(実際は苦しいかもしれませんが。)

ということで「注目のテクノロジー人材」について書いてみました。どんどん技術が変わろうと、今後何年間も注目される分野ではないでしょうか。